特殊な機械が無くてもハブベアリングの交換ができるのが嬉しいです。
ハブベアリングとは?
タイヤを組み付けるボルトの出ていて回転する部分のベアリングです。
このクルマの場合はディスクローターがボルト&ナットによってハブに硬く組み付けられています。
ハブは最も車重のかかる部分ですから当然ベアリングの負担も大きいのですが、使用されるベアリングの耐久性も高く通常は20~30万キロは交換無しでもイケる部品だと思います。
車種によって違いますが通常は2個~3個使われています。
ハブベアリングの交換は難しい?
クルマによっては専用工具や油圧プレスなどの機械が必要だったりしますがこのスペースギアはDIYでできました。
ただ新品のハブベアリングを注文するとハブベアリングの他にアウターレースも付属してきます。
ベアリング自体はアウター側と同様にインナーも仕込まれているので交換は容易ですが難しいのはベアリングのアウターレース(ベアリングを受ける金属の輪)を交換することでした。
インナー側は外したアウターレースを使って圧入し、アウター側はたまたまあった大きいインパクト用のソケットを使って圧入しましたが、普通こんな大きなソケットを持っている方はいないと思うのでアウター側の方がアウターレースの圧入に苦労するかもしれません。
ハブ&ローターを外す
フロントをジャッキアップしてタイヤを外す。
ブレーキアッセンブリ外す。キャリパーはアッパーアームの上に。
ハブキャップを外す。
シャフトに入っているスナップリングとOリングを外す。
14mm6本回してハブカバーを取り去る。
ロックナットの回り止め金具を固定しているビス2本を回して両方取り去る。
ロックナットを回して取り去る。
ここまでやればハブはローターごと引きずり出すことができます。この時ハブからアウターベアリングが転がり落ちるので親指などで脱落に注意しながら引っ張り出します。
インナー側オイルシールを外す
インナーベアリングを取り去るためにインナー側のオイルシールをマイナスドライバーでこじって外します。
オイルシールは再利用するので少しずつ全周すこしずつ持ち上げてやります。
オイルシールが外れればインナー側のベアリングは簡単に取れますので次のアウターレース取り外しに備えてローター内をキレイにしました。
アウターレースは叩けば落ちる
ローター内には三方にけがきが入っています。
たぶんアウターレースを交換する時のためなのかなぁ。この部分を細い金属製の棒とハンマーで三方均等に慎重に叩きながらアウターレースを落としました。
この作業で使う棒は”整備解説書”では”黄銅バー”と呼んでいるようですが要は”真鍮でできた棒”のことのようです。おそらく鉄製ではローター内を傷つけてしまうのでしょうか?
ま、でも作業の後中を確認すると特別キズが付いているような所はないんですけどね。
アウター側インナーレースを入れる
アウター側インナーレースの直径を計測すると73mmくらい。
ならば直径70mmか71mmくらいの何か筒状の物があれば圧入できるわけで。
探してみたら・・・・ありました!
なんと50mmの大型インパクト用のソケット!
「なんでこんな物があるんだ?」っと思いながらもアウターレースを入れてできる限り偏った方向に力がかからないようにハンマーを当てて軽く叩きながらゆっくり入れました。
インナー側アウターレースを入れる
インナー側のアウターレースはさっきのアウター側よりも5mmくらい大きいので
さっきのインパクト用のソケットが使えず「どうしようか・・・・」っと思っていましたが、よく見ると入り込みが浅いので外したインナーレースを当てて叩いて入れました。
ただそのまま新しいアウターレースを古いアウターレースを入れてしまうと古いアウターレースが取れなくなってしまうので、
入れ終わった後で古いアウターレースを叩いて取れるように万力で固定してグラインダーでけがきを入れました。
新しいアウターレースがしっかり入ったところで裏側から鉄製の棒で古いアウターレースを叩くと容易に取り外すことができました。
ハブ&ローターはイン側を上にして置いておきます。
新しいベアリングをグリースUP
インナー&アウターとも新しいベアリングをグリースアップします。使用するグリースは“ベアリング用グリース”をお使いください。私はベアリングの中にしっかりグリースを入り込ませるためグリースガンをベアリングの隙間に押し付けてギュ~っと出してやりました。
で、仕上げにゴム手をしてベアリングを手に取りヌラヌラと回してやります。
インナー側のベアリングをローターに入れたら再度ベアリングにグリースを塗布して指でならして、灯油でゴム手のまま手を洗い今度はオイルシールの取り付けです。
オイルシールも叩いて装着
オイルシールも本来は特殊工具があるのですが今後使いそうに無い高価な工具を購入する気にもなれずハンマー2本で入れちゃいました!洗浄したオイルシールを手で押し付けます。ハンマーの平らな部分をオイルシールに当ててもう一本のハンマーで軽く叩きながらできる限り均等に入れ込んでいきます。
オイルシール外側がローターとツライチになればOK。今度はひっくり返してアウター側からグリースガンを挿入してインナーベアリングの反対側にもグリースをシコシコ。
更にローター内やアウターベアリングのアウターレース辺りにもグリースを塗りこんでおきます。
ロックナットは緩目が吉
ローターを入れてアウターベアリングを入れてロックナットを入れるのですが、このロックナットの締め付け加減が難しいとされています。
正しいやり方はウロ覚えだけど20kgm~30kgmで締め付けて一旦緩めて軽く締めてロックワッシャのネジ穴が合わない時は緩め方向へロックナットを動かす・・・・
まぁ要はローターとアウターベアリングにガタが無い状態で軽く留まっていればいいわけで。
そこで私はアウターベアリングをギュ~っと押しながらローターを手で回してロックナットを入れて軽く手締め!ロックワッシャを入れてネジ穴は緩め方向へずらしてビスを締め付け!
今まで何度もこのやり方で組み付けてきましたが特に問題を感じたことはありません。逆にロックナットの締め過ぎはかなり問題あるようです。
交換後のインプレ
やっぱり静かです。
普段認識しづらい言葉で例えようのない音なのかもしれませんが、明らかにそういった騒音がなくなった感じです。(かなり大げさです)
車内に響くのはタイヤとアスファルトの摩擦音だけ。
乗り心地も変わりました。ギャップを拾った時のショックが和らぎましたね。ショックアブソーバーやゴム製部品の交換無しでベアリングだけでココまで変わるか?!とも思いました。
今回ハブベアリングを自分で交換してみて感じたのは”意外に簡単だった!”ということ。
ベアリングは入っているだけだしアウターレースは軽く叩けば取れるし入るしオイルシールも意外に簡単に取れるし再利用できるし。
ベアリングがナックルに圧入されているクルマも多いんですがこのような簡単な構造でしかも20~30万キロも持つとはなかなか素晴らしいと思います。
今回アウターレースの交換に手間取りましたが外したアウターレースを見ると特に消耗したような形跡も無いので、もしアウターレースがどうしても交換できなければベアリングのみ交換もアリかな?とも思いました。
それともハブ&ローターと新品のハブベアリングとアウターレースを持って近くの修理工場へ持ち込んだ方が早いかな?その場合の工賃はたぶん数千円で済むと思う。
20万キロ以上走行しているクルマなら是非交換すべきでしょうね。乗り心地も変わりますよ。(かなり大げさですが)