一見日産が三菱を助けたように見える今回の件ですが日産だって自分達に何のメリットの無い事をやるはずはないですよね。
ゴーン節炸裂
昔経営が傾いていたニッサンにルノーからカルロスゴーンさんがやってきて見事にニッサンを立て直した時は日本中から喝采が起きたものでした。
日本国内において外国人のリーダーが受け入れられるのは実に”稀”な現象だと言われていました。しかしゴーンさんは見事にやり切りました。当時はゴーンさんを見かけた通行人がサインをねだるほどでした(笑)
そのゴーンさんが先日の会見で”この提携は両者にとってWin Winの関係になると信じている”っと言っていた。
資本提携は吉となるか凶となるか
”買収”とは違い資本提携なのでお互いが出資し合うかたちですが今回の資本提携でニッサンが三菱の”筆頭株主”になったようです。
そうなると当然三菱の役員人事にもニッサンは口を挟めるので、燃費偽装などの諸悪の根源のような役員も姿を消すかもしれません。しかし我々ユーザーの興味はそんなことよりも”技術の持合”が起きるかどうか?ではないでしょうか。
ニッサンが単純に、評判を落とした三菱の軽自動車部門をそれほど欲しがるはずは無く、ニッサンが欲しいのは・・・・・・PHEV技術なのかもしれない。
アウトランダーPHEVのようにエンジンはあくまでも発電用で、走行は完全にモーター、しかも走行モーターを2基前後に配置したクロカンSUVなんていうクルマはアウトランダー以外に無い。
日本では”三菱自動車製”ということで売れませんでしたが、日本のような風評の無い環境大国ヨーロッパでは売れていたようです。
もし三菱アウトランダーに搭載されているPHEVシステムをニッサンのエクストレイルに移植できれば・・・・・売れるでしょうね。
ま、ニッサンとしてはもらうだけでは悪いので三菱に”自動運転技術”を供与するでしょうし、ゴーンさんはたぶんそういう意味で”お互いにとってWin Win・・・・”っと言ったのではないでしょうか。
三菱自としては身内の重工や商事、バンクからの助けが期待できない中でのニッサンから資本提携の提案。今後はニッサンからの要請を断ることなど出来ないでしょうね。
PHEVはハイブリッド車の一歩先行く技術
エコカー全盛の時代ですがプリウスに代表されるハイブリッド車の燃費はせいぜいリッター辺り40kmいくのかどうかですし実用燃費はその6割程度です。
しかし三菱自が手がけるアウトランダーPHEVはカタログ燃費で60kmくらい。移動距離が1日辺り60km以内ならガソリンを使うことはありません。
更にモーター2基積んだ本格4WD!どう考えてもユーザーにとってはPHEVの方がありがたい。
ニッサンには”リーフ”という純粋な電気自動車がありますが1充電辺りの走行距離が200km程度だとすると週末に遠出するにはチョッと寂しい性能です。
三菱のアウトランダーPHEV技術に手を加えて電気自動車としての性能を上げつつ長距離も走れる車をニッサンが売り出せばきっと売れると思う。
ニッサンは倒産寸前の三菱自を助けた度量の大きいメーカーという評判を得ただけではなく、これからいっそう需要が見込める技術を易々と手に入れる機会を見逃さなかった!
って言うかゴーン社長は三菱自との業務提携が始まった当初からこのような機会を虎視眈々と待っていたのかもしれませんね。
三菱自はどうなる?
資本提携ですからクルマ造りが大きく変わることは無いと思います。イヤ変わってほしくないと思います。
他社が売れ筋のデザインやコンセプトを採用するのに対して三菱自のクルマ造りは結構独特ですからねぇ。まぁ良かろうと悪かろうとパッと見て直ぐに「おッ!?三菱だな?」ってわかるところがある意味イイところではあるかなぁと思うわけです。
ただニッサンは三菱自内の隠蔽体質を改善するためにニッサン社内からそれなりに人材を送り込んでくるハズ。そうして三菱自内の悪い膿が出てくれればそれでよし。
そうしてついでに4M40の劣悪なグロープラグもちゃんとしたものになってくれれば・・・・・それは無理か?
潰すには惜しいメーカー
日本国内で忌み嫌われ”無くなってもかまわないメーカー”とされている三菱自動車ですが実は海外では一定の人気と信頼が寄せられているメーカーです。
事実三菱自の収益のほとんどが海外での実績だったと聞いています。
元々ローバーのマネから始まったパジェロでしたがクロカン4WDのお手本みたいなクルマになりましたしランエボは世界中で勝ちまくりましたしアウトランダーはヨーロッパのメーカーから注目・研究されているようですしデリカスペースギアのようなクロカンミニバンは世界のどこにも無いと思いますしコルトはエコカー減税が始まった当初から暫くの間は唯一の4WD車でした(燃費偽装があったとしても実用燃費はホンダのFFフィット並みに良かったのだ)
それにエンジンやミッションの致命的な故障や突然死も少ないように思うしボディーの腐れなども少ないと思う。
三菱自という組織がどんなに世間から叩かれても日本国内にも一定のファンがいることが、それなりに良いクルマ造りをしている証拠ではないかと思います。
今後どうなる?
今回ルノー・ニッサングループに取り込まれましたがいずれにしろ今後三菱自同社単体で自動車メーカーとして生きていくのはどの道不可能だったと思います。
現在の自動車業界は各メーカー同士が寄り添うようにくっつき合って大きなグループを形成してきています。三菱自もいつかはどこかとくっつく必要があったのです。
とはいえトヨタグループに取り込まれたスバルのように軽自動車の開発を止めさせられたりするようなこともなく、開発・生産体制が大きく変わることは無いのではないでしょうか。
私は古いデリカスペースギアが好きで乗っているだけで別に三菱自動車のファンというわけでもないので、今乗っているスペースギアがダメになった時は同型のスペースギアかパジェロを探すか、他社に魅力的な車種があればそれに乗り換えるでしょう。
しかし今まで縁あって三菱のV46パジェロや後期スペースギアに乗ってみましが、他社には決して無い魅力があるのは事実だと思います。
自動車ユーザーの大部分の人はおそらく故障や不具合が無くメーカーが組織としてしっかり機能しているメーカーのクルマが好きなんだと思います。
でも僕は偶然にも三菱のクルマに乗る機会を得たことでメーカーに関係なくそのクルマが持つ個性や性能を楽しむようなカーライフを送れていると思います。
一風変わったデザインやコンセプトでお世辞にも売れそうな感じもしないのに乗ってみると意外にクセになる・・・・
僕としてはそんな他社のマネをしない、一目で”三菱だ!”ってわかるクルマを今後も造り続けてほしいと思います。